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2010.12.28 Tuesday
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*この世界のぜんぶ
詩 池澤 夏樹
絵 早川 良雄
「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」
と書いた詩人が死んだ日にも
おまえは着々と言葉をおぼえていた
〜〜中略〜〜
人は言葉で自己を主張する
言いたいことを言う
しかし一方、言葉があるから
人は他人に対して自分を開きもできる
「あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌から落ちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう」
「」の部分は、田村隆一の詩集『言葉のない世界』から池澤夏樹が引用
「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」
とまでは、思わなかったけど
「言葉は無力だ」と思ったことなら何度もある
・・・そんなことを思いながら読んでいたけれど
池澤夏樹さんの言葉は
そんなひねくれたわたしの気持ちなどおかまいなしに
どこまでも涼やかに、どこまでも透明で、
ひねくれているのが、なんだか ばかばかしくなってきた
本から目をあげて、空をみる
皆既日食の翌日の空は、晴れわたっている
身近なものはかわいい
この錯覚にご用心
家の近くの鳥が
ここにしかいないと思ったら
大間違い