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2010.12.28 Tuesday
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文字禍
文字の霊などと言うものが
一体、あるものかどうか。
〜190〜
君やわしらが、文字を使って書きものをしとるなどと思ったら、大間違い。
わしらこそ彼ら文字の精霊にこき使われる下僕じゃ。
〜p200〜
こんなことがあってから、ぼくは
白樺のテーブルを物置台にすることはやめて
たいせつにあつかうことにしました。
ぐらぐらになった足を修繕し、毎日きれいにふきました。
けれど、花を飾って、深呼吸を三つすることは
なんだかおそろしくて、いまでもできずにいるのです。
〜p39〜
わたし、見た。
恐い夢。
星が浮かぶ真っ暗な宇宙のまんなかで、回転木馬に乗っているの。
ぐるぐる回って止まらない。
降りたくても、降りられない。
降りるところもないの。
恐くて恐くて、わたし、夢の中で泣いたの。
〜p202〜
「ぼくたちが知っている重力は遠心力だった。」
タクが、ぽつんとつぶやいた。
「遠くへ遠くへと、遠ざける力だ。だからぼく、いつもさみしかったんだ」
「さみしかった・・・?」
ぼくは、驚いてタクを見た。
「うん。なんだかわからないさみしさがいつもあったよ。誰にも言えなかったけれど」
「わたしも」
とニニがつぶやいた。タクが、ぼくを見てにっこりと微笑みながら言った。
「引力は違うね。ひとつになろうとする力だもの」
そんなこと考えてもみなかった。
遠心力は孤独な力だ。だけど引力は違う。
ぼくたちは引きつけられ、いつもひとつになろうとしていた。
〜p253〜
わたしは子供のころから、いわゆる諺というものが嫌いでした。
「石橋を叩いて渡る」とか「天災は忘れたころにやってくる」といった類の言葉のことです。
これは何かが起きたとき、絶対安全な場所にいる誰かが
いかにもしたり顔で言ってのける一連の言葉です。
一体全体こうした諺は、人間のひたむきな行動に水を浴びせかけるような
保守的で受動的なものが多い。
〜あとがき〜
それが指しているものがわかればいいというものではありません。
乱世を生き抜くためには、いったい誰が、どのような意図をもって
「月を見よ」と命じているのか
その真意を指の後ろがわについている腕や着物から判断する才覚が
必要とされるのです。
〜p67〜
指が指し示すもの
その先にあるものを見極めるには
その指の持ち主をよく観察しなければならない
指の持ち主が導こうとしているその道は
ほんとうに、ほんとうに、明るい道だろうか
その指の持ち主に見惚れていてはいけません
ということは、きっと、いま、みなが思っているかもしれませんね
病院に行くと
哀しそうな人が多いことに悲しくなる
・あの寂しい人たちは、どこからくるのか (ビートルス) p176
・明るいのは滅びの姿だ (太宰治) p215
snapshot s1709
よく”1冊の本”というようなことを言いますね。
”無人島にもっていく1冊の本”とか
”これまでに読んだ本から1冊を選ぶなら”とか。
〜warmgunさん 【Don't Let Me Down】の記事〜
わたしが望んでいたこと?
望んでいなかったことをいうほうがやさしいわ。
わたしはただ人形のように生きたくなかったんです。
身ぶりをしたり、きまりきった文句をいったり
いつもいつもテレーズという女を殺してしまうようなことをしたくなかったんです。
〜p171〜
(わたしの心がひかれているのは、この石の町ではない。
公園でもなければ美術館でもない。
目の前で動き、嵐よりも凶暴な情熱の風雨に叩かれる人間の森なのだ。
あのアルジュルーズの森の夜の呻き声も
人間の声のように聞こえたからこそわたしの心をゆすぶったのだ)
〜p176〜
電車に乗っていると
どうして電車なんかに乗っているのだろうと思ってしまう。
移動している時の方が、じっとすわっている時よりも
遠くに考えが飛んで面白いからかなあ、と思う。
〜枕木 p9〜
切符を買った時にはどこかへ行くつもりだったのに
乗っているうちに、どこへ行くのか忘れてしまった。
〜枕木 p9〜
(わたし)は、身体を持たない。名前もない。何者でもない。
普段は、人の目にも見えない。
ただ、時々自分の意志と関係なく
ある物質や生物のカタチになってしまうことがある。
一度あるカタチを取ってしまうと、もとにもどるのが難しくなる。
早くもとにもどりたいと、そればかり考えてしまう。
カタチがあると、壊れるのが恐いので、カタチがない方がいい。
〜雲を拾う女 p42〜
どうやら枕木というものは
その上に頭を置いて眠り込んでしまうためにあるのではなく
夢から夢へと渡って行くためにあるらしい。
〜枕木 p35〜