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2010.12.28 Tuesday
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生は緩慢であり、人間は生を賭けるすべをほとんど知らない。
人間が生を賭けるのを助け
生にそっくりその意味を与えることのできる存在に到達する可能性は
星図のなかに見失われている。
もういちど言うが、今晩わたしの連れとなっているのは誰か
わたしの先を行くのは誰か?
明日という日は、これらの魅力的な巻毛
巻毛に似ているこれらの踝などを考えることなく
しかたなしに受け入れたさまざまな事がらから作られたままだ。
退くなら今だろう。
〜p103〜
一点の曇りもないというのは
人間にとって恐怖なのよ。
〜p145〜
でも魂がなくて問題になるのは人間だけなのよ。
人間ではないどんな生き物にとっても、それは問題にならないの。
だって世界の大きな魂は
馬たちの鼻から吐き出されて魚たちのエラから吸いこまれている。
でも、人間はひとりずつ、めいめいの魂をほしがった。
みんなの大きな魂を、ほんとうに愚かに、こまぎれにしてしまった。
人間たちには、みんなの魂というものがないのよ。
魂のこんな小さな分け前が並んでいるだけで
そこからは貧相な花や貧相な野菜がはえてくるだけ。
〜p142〜
人間だった彼を見た最後の日、彼は世界はさびしいと思っていた。
珍しいことではなかった。
彼はいつだって世界はさびしいと思っていた。
それが私が彼を愛していた大きな理由だった。
〜思い出す人 p9〜
たとえばさ、
太陽が空にあるのは当たり前のことで、特別なものではないよね。
でも、太陽は大事でしょ、
死ぬことも同じじゃないかって思うんだよね。
特別じゃないけど、まわりの人にとっては悲しいし、大事なことなんだ。
「死神対老女」
〜p263〜
わたしたちは
どこから来て、
どこへ行くのか。
その問いの道の中に
藤原新也の
旅はある。
〜帯の言葉〜
根本的な閉塞状況に対してどのように身を置くべきか。
非常に難しい問題だ。
しかしなんとなくちかごろ ”最初に言葉ありき” という言葉が思い浮かぶんだ。
新しい言葉の発見というのかな。
漠然とではあるが、今私はその焦土の中では『言葉』というものが
非常に重要になってくるような気がする。
言葉は人の心の畑を耕し、心を動かし、その言葉によって動かされた心は
事実や現実や環境を動かし再編成する力を持っているからだ。
〜p427〜
かつてのように自然の中における体験が人間の心を育むというような
人間と自然の蜜月は終わっている。
言葉や芸術こそがそれの代用として機能するのではないかと思うんだね。
その言葉は人間の心を作りその心は技術や技法を生む。
心というのは単に”心の時代”というような抽象的なものではなく
技術を伴ったものでなくてはならない。
〜p429〜