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2010.12.28 Tuesday
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鏡 響子さん が推薦してくださったのは カフカ
ある朝グレゴール・ザムザが、気がかりな夢から目覚めると
自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変身しているのを発見した。
書き出しの一行だけ読めば、後は読まなくていい、と思わせるくらい
書き出しに全部が凝縮されているように感じます。
〜鏡さんのコメント〜
鏡さんが仰るように 『変身』 という物語は
「ある朝 いきなり虫に変わってしまった」
ある意味 それがすべて なのだ
読み始めて間もなく読み手は知る
(つまり、そういうことなのさ)
とでも言うようなカフカの文章は
ところがそこに 美しい姫が現れて・・・
なんていう メルヘンチックな展開も
いやいや、やっぱり夢でした・・・
なんていう めでたしめでたし も
ありえないのだ、と・・・
(そういうことになってしまったんだから仕方ないね) と
この異常事態を ガラスケースの中を観察しているような視線で
最後まで一貫して変わることのないリズムで
カフカは沈着冷静に記していく
なぜだろう
読みながら思う
ほかの小説を読んでいるときと
カフカの小説を読んでいるときとは
読んでいる感じが違う
それがなぜなのか、なんなのか、わかりたくて
カフカ、すべてではないけれど
「変身」 「城」 「審判」 などの小説
日記、書簡、ノートなども読んでみた
翻訳のせいだろうか、と、訳者の違うものも読んでみた
けれども翻訳のせいではないようだ
その理由のひとつは
鏡さんのコメントがヒントになって
すこしだけ わかったような気がしてきた
〜〜*〜〜
TB記事を書いてくださいました。
いつもながら、鏡さんの歯切れのよい文章です。
ありがとうございました。
■ 鏡 響子さんの記事
[ 変身 カフカ 訳 高橋 義孝 ] (新潮文庫)
[ 変身 カフカ 訳 中井 正文 ] (角川文庫)
[ 変身 他一篇 カフカ 訳 山下 肇 ] (岩波文庫)
[ 変身―カフカ・コレクション カフカ 訳 池内 紀 ] (白水uブックス)
[ 変身・掟の前で 他2編 カフカ 訳 丘沢 静也 ] (光文社古典新訳文庫)
Comments
2008/06/16 9:34 PM
今日はいい日だな〜っと!さっそくトラックバックさせていただきます!
さすがnadjaさん、カフカの色んな翻訳、色んな作品を読まれていてすごい!
カフカは売れるあてもなく、こんな奇妙な小説を次々に書いていたのだ、友達のブロートの紹介がなかったら、カフカはほとんど知られずにいたのだ、と思うと、世に出ずに終わった偉大な作家がまだいるのではないか、そんなことを思ったりします。
主人公が、戦争とか、強制収容所とか、20世紀の恐ろしい現実を生きる小説はたくさんありますが、「変身」を読むと、「20世紀の平凡な日常」こそが、実は、どの現実にもまして恐ろしい世界だった、そんなことに気づかされます。
2008/06/16 10:17 PM
日々の当たり前が、どれほど変化の可能性を秘めたものか。
想像力、想像をし得る感受性の無限、どこまでも広がって
いく世界を感じさせてくれた作品です。
この書き出しに、敵う作品も少ないでしょうね。
2008/06/16 10:33 PM
こんばんは。鏡さん。
見にきてくださってありがとうございます。
カフカを書くのには、相当の勇気が必要でした。
だって、鏡さんが読んでくださるとおもうと、緊張緊張、また緊張(笑)
カフカ、あらためてすごい作家だと思いました。
同時に、不思議な作家だと思いました。
紹介されているカフカの生きざまを知るにつれ、ますます謎が深まっていくようで
作品にこめられたカフカの想いが、わたし、見えなくなっていくみたいです(汗)
ふつうのもの、それ自体が夢だと言ったんですよね、カフカ。
今回ね、『変身』を読んでいって、最後のシーンの文字の上に
絵がかぶさって見えてきたんです。
ピカソの『ゲルニカ』
ピカソは、この時代を予知していたと言われてますよね。
カフカも、現代を透かし見ていたんじゃないかとそんなふうに思えてなりません。
2008/06/16 10:38 PM
そうなんですそうなんです。
ちょっと、足がいっぱいある虫が苦手なので(笑)
あ、理由になってません?(苦笑)
『変身』という小説、じっくり読むことなくきてしまったのですが
今回、鏡さんが推薦してくださって、何年かぶりに、ちゃんときちんと再読してみたんです。
そうして、すこしだけ気づけたような気がします。
やはり凄い作品で、凄い作家です、カフカ。
2008/06/22 7:08 PM
トラックバックを承認制にしていたこと、すっかり忘れておりました。何度もお手間を取らせてしまって、本当に申し訳なかったです。
こんな素敵な記事をトラックバックしていただいて、本当に幸せです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m
2008/06/22 8:57 PM
いえいえ、そんなそんな(汗)
かえってありがとうございます。
差し出がましいかな・・・
こんなこと書いちゃっていいかな・・・と、思いながら、お伝えしたので
鏡さんからお返事いただけて(こちらにまでいらしていただけて)
ほっとしましたし、うれしかったです〜。
素敵な記事なんて、そんなそんな(滝汗)
みなさんのように深い考察できなくて恥ずかしいな、と思うこと、たびたびあるのですが
知ったかぶりの付け焼刃はすぐバレちゃうと思うので(笑)
背伸びしないで、このスタイルでゆる〜く書いていこうと思ってます。
鏡さんやみなさんの記事に助けてもらいながら・・・
ということで、こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
2008/06/22 10:37 PM
なんていうんでしょうね、、彼の世界観は。内面の奥をのぞくような気が、しないでもないです(笑)
変身は、今でも覚えております。家族のリアルな嫌いように身の毛が、よだったことを。
リアルなんですよね。家族が虫に、毒虫になったら、そりゃそういう扱いになるよ…なるかな?
といったことも考えた覚えがあります。短編集でもぐっときたのがあったんですが。。
これは実家に帰った時にまた発掘しようかな♪
2008/06/22 11:05 PM
こんばんは。
コメントありがとうございます。
そうですね、家族が毒虫になったら・・・
ん〜〜、どうなんでしょ? なってみなきゃわかんないかもですね(笑)
できれば、エイミー・ベンダーの短篇「思い出す人」のように
逆進化していく恋人を静かにみつめ続けたいと思うのだけど・・・
カフカの短篇で、すごくカフカの視点は、こうなんだ、と感じたのは
わずか2ページか3ページの「禿鷹」
それと父から譲られたという不思議な生きものの話「雑種」が印象的です。
カフカは、短篇、それも、すごく短い作品にキラリと鋭く輝くものがあるような気がします。
それほど読みこんでないわたしが言うのは、おこがましいのですが・・・(笑)
ぜひいつか、rakuさんのぐっときたカフカの短篇、教えてくださいね。